モルジブの旅

1998年、DOVEウェットスーツの戸倉氏に誘われて十日間のモルジブツアーに参加する事にした。そのメンバーにシークエンスの蛸氏も加わり、全員で十人の波乗り好きの人達が集まった。まだ日本人が行った事のなかった、モルジブ共和国の中で一番南に位置する、赤道から北に向かってわずか16kmの場所にあるのがガーフアリフアトールで、私達の目的の場所はこのアトールだ。
021首都マーレで入国審査を受け、それから国内線の飛行機に乗り継ぎ南に300km離れたアトールに小さなプロペラ機で向かう。1時間くらいでガーフアトールに着いて、すぐ港にはボートが待っていた。アトールの中をポイント目指して進んで行く。気温は40度位は有るが、船の速度と揺れ具合、風の向きもピッタリで波乗りに来た事など忘れて、極楽気分で熟睡してしまったのを覚えている。
そして波はレフト、ライト共にパーフェクトで、波のサイズも毎日4〜6フィート位は有り、波質と波のサイズに合う板に乗る。船で夜が明け、朝一に紅茶で目を覚まし、まず1ラウンドして朝食になり、食べ終わると又サーフィン。昼飯になり済ますと又サーフィン。3時で一休みして又サーフィン。夕食で上がり一日が終わる。

ボス アミーン
ボス アミーン

ムスリムの国なので酒は無いものと思っていたら、船底にはビール、ワイン、ウィスキー何でも有って、お金さえ払えば飲み放題だったので毎夜波乗り談義でとても盛り上がった。さすがキャプテンのアミーンさんで、この船もアミーンさんの持船でアルコールの販売許可も持っていて、飲ん兵衛にはたまらない助けになった。
さて波乗りの話だが、このアトールで最も危険なポイント(そのポイントの名前はバラクーダだとアミーンが教えてくれた。)で、バレルが出来る所はシャローなリーフが待っていて、ワイプアウトをしたら必ず大小の怪我を覚悟しなければならない。そんな中、蛸氏がディープなチューブライディングを私の前で見せてくれた。私は今でもはっきり覚えている。また戸倉氏の波乗りは無理がなく上手。もう一つ、グループをまとめ皆を楽しませる事の出来る一面も見て、さすが旅慣れたサーファーだ。私も少しは見習いたいと思った。
今回のこの旅をする事で一回り自分が大きくなった様な気がした。モルジブの波がとても気に入り、五、六年続けて行ったが、この旅の波が一番良かった。

(All Photos:Tomomi Mizuguchi)

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ボトムターン バレルでは無いが素晴らしいボトムターンをした蛸氏
後のバレルを見れば危険度がわかる(ボートのクルー@バラクーダ)
後のバレルを見れば危険度がわかる(ボートのクルー@バラクーダ)