2017

俺が波乗りを覚えて五十一年になる。しかしその二年位前から夏になると白浜に波乗り板を車のルーフに積んで来て楽しんで帰る人たちを目撃していた。何か別の人間が遊んでいて宇宙人を見てる様だった。
その波乗りを二年後くらいには人一倍夢中になってしている俺だった。それ以来色々な人達と出会って今日に至る。1960年代後半初めて板の上に立ち波に乗れた時の経験は、喜びと共に海の事や板の事をもっと知りたくなり湘南のボード工場に就職してボード作りを覚えた。そして色々な大会に出場し、それから海外の波も乗ってみたくなりその当時の波の良い有名なポイントにはほとんど行って乗った。当時あまり情報が少なく、自分の足で行って見て経験する事が大事だった。
今では色々な場所から色々な情報が手に入り、旅にも行って来た気になり、ボードの説明書を読んで何年も経験した気分で海に来て、遊び方の判らない様な感じのサーファーを見ると可哀相になる。サーフショップとかでサーフクラブを紹介してもらったりして仲間を作ってほしいものだ。
最近五十年以上波乗りをやって来た友人などと話すと、俺達が海にいた時にあんな雑誌に出てあんな事言ってたけど、あんな奴サーフしてたの見たかとか居たかとかそんな話になる時がある。何故かというとその時代、日本中の海を旅すればほとんど大会で会って知り合ったサーファーばかりで、どこの海に入っても誰も居なく俺がどこに行っても湘南、千葉以外はローカル気分で波乗りしてた。まだ昔の話が通じるサーファーは今でもこの業界で何かしら仕事をしている。
俺も板削りも仕事にして波乗りを続けたいと思っている。

Shirahama 1968